切符

以下の引用から分かるように、北朝鮮の人々が駅で切符を買うのは様々な意味で容易ではない。

北朝鮮は長距離バスが走っていない。駅には切符を買うための長蛇の列ができている。一日の販売枚数は決まっており、早くから並んでいても買えるとは限らない。要領のいい人は駅員に賄賂を渡して切符を購入する。(宮塚利雄『浮浪児と美女軍団 北朝鮮の暮らし』)
特別に交付される通行証がないと鉄道の切符は買えない。(アレクサンドル・ジェービン『私が見た金王朝』)
一九九三年の秋。すでにこのころ平壌から北部へ向かう列車は、電力不足のせいで、運航されていたにしてもまばらだった。切符を買えても、旅行者が党の高官でない限り、席に座ることができるチャンスはわずかだった。
駅はいつも列車を待つ乗客でいっぱいだった。彼らは暗い構内をうろつき、しゃがみこんで煙草を吸い、列車の到着を待った。列車が着くと猛然と突進し、壊れた窓から身体を押し込み、車両のつなぎ目によじ登った。(バーバラ・デミック『密閉国家に生きる』)

証明書や切符を持たないと逮捕され、強制労働に従事させられる。

証明書や乗車券を持たずに旅行する人が捕まると、賄賂がなければ一~二か月、はなはだしきは六か月の強制労働をさせる執結所がある。大きな代表的なところは、平壌市内に入ったとか、入ろうとして捕まり収容される「管理執結所」である。五つの駅前の近くには例外なく、大小いずれかの「強制労働所」がある。(チャン・キホン『北朝鮮 普通の人々』)