北朝鮮の車の種類

北朝鮮の国産車はソ連の車の複製である。

一九六〇年代に北朝鮮は、ソ連の原型を元に新しい種類の車の生産を始めた。最も重要なモデルは《更生‐六四》であった。ソ連で一九五三年から生産された4WD、GAZ-69の北朝鮮の複製だった。いまでも広く使われており、北朝鮮で大量生産された唯一の国産乗用車となっている。(アンドレイ・ランコフ『民衆の北朝鮮』)
《更生》は幹部が乗り回す車種だ。(チュ・ソンイル『北朝鮮人民軍 生き地獄の兵営』)
共和国製トロリーバス《忠誠七四型》。トラックで一番多かったのが《勝利(スンリ)五八型》。ジープは共和国製《更生六八型》が多かった。
トロリーバスに次いでよく目についたのが黒塗りの西ドイツ製ベンツ。車窓の内側に白いカーテンが付いている超高級車から、普通車に近いものまであった。ほかにも外車はたくさんあった。黒塗りのソ連製モスコビッチ、ボルガ、卵色の中国製上海、それに紅旗も少なくなかった。日本製ニッサン、トヨタの自動車も多く、スカイラインが疾走しているのも何回か見かけた。(金元祚『凍土の共和国』)

北朝鮮では木炭車も走っている。

九十年代初め頃、ヌンナ888貿易会社に在職していた頃は、清津に出張する機会が多かった。地方の道路を走っていると、軍用トラックとディーゼル車両を除いてはほとんどが木炭車だった。木炭車は、うしろに大きな窯を積んでいて、そこで薪やトウモロコシの茎などを燃やして発生したガスをエンジンに送り込んで動かすのである。
窯から立ち昇る煙は大変なもので、あたかも車が煙に包まれているようだった。わたしは一度、この木炭車が清津近くの山岳地帯で峠越えをしているのを見たことがある。峠はおおよそ標高千二百メートルだったが、馬力の弱い木炭車があえぎあえぎ越えようとすれば二時間はかかりそうだった。(康明道『北朝鮮の最高機密』)
勝利五八トラックはトウモロコシのキビを燃料に走っていた。運転席の左側のすぐ後ろの荷台に直径七、八センチぐらいの丸い鉄製のカマのようなものを取り付けており、そのそばにトウモロコシのキビをたっぷり積み込んでいた。そして助手席らしき一人の男が鉄製のカマの蓋を開けては、トウモロコシのキビをくべていた。
そのたびにカマからは白い煙がもうもうと舞い上がった。頃合いを見計らって運転手がエンジンをふかす。けれどブーッ、ブーッというけたたましい音を出すだけで、エンジンはなかなか始動しない。そうすると、運転手はいらいらして運転台から飛び降り、荷台に駆け上っては助手にかわって鉄棒のようなもので鉄製のカマのなかをつっつく。(金元祚、前掲書)

北朝鮮では日本製のトラックも走っているという。

元山市内にはブルーの車体をした日本製のトラック、いすゞ「エルフ」がやたらと目についた。(金元祚、前掲書)