チャンマダンでの取り締まり

チャンマダンでは取引を禁止されている品物がある。当局による取り締まりがあり、特にコメの取り引きは罪が重くなる。

闇市場では製造されたばかりの新品の販売は許されていなかった。それは国営店のみが扱った。穀物の販売も禁止され、特にコメを売っているところを見つかれば終身刑をくらう。(バーバラ・デミック『密閉国家に生きる』)

工業製品も取り締まりの対象だが、黙認の対象になっているということから、品物によって罪の重さが違うことがわかる。

都市や大きな町では毎日、少し小さな町では五日に一度、田舎は十日に一度、といった頻度でチャンマダンが開かれる。
咸鏡南道咸興には二、三箇所、チャンマダンがあった。
もちろん闇市だ。靴などの工業製品を売るのは禁止されているから、取り締まりはあるが、黙認同然になっている。
農民が持ち込む鶏や卵は大丈夫だ。
だが、いまはテレビ、冷蔵庫まで売買されている。さすがに車は売っていない。(朝日新聞アエラ編集部『北朝鮮からの亡命者』)

取り締まりを行うのは北朝鮮の警察である社会安全部や、糾察隊と呼ばれる巡回取締班である。以下の証言によれば、中国の品物を取引していると言いがかりをつけて没収されるのだという。

「私は新義州から来たんですが、あそこは中国との国境ですから、中国産の商品が内陸部より安く手に入るんです。子供用の衣服、煙草、薬品なんかを仕入れました。だけど、糾察隊や安全員の連中に見つかると、煙草や薬をごっそり持ってかれてしまう」
「どんな理由で没収するんです」
「ある人が中国産のたばこを吸ったところ、煙草の中に入っていた雷管が爆発して手の指が飛んでしまったとか、鎮静剤などの中国の薬に釣り針が入っていて、その薬を飲んだ人の体に引っかかって死ぬというようなことがあったとか、そんな言い掛かりをつけて没収している」
中国から入って来る商品には人体に有害なものがあるので、使用をできるだけ控えるようにと党が指示しているのは事実である。しかし、国産品は品質が悪い上に国内需要の三分の一も満たしていないのだから、人々の生活必需品は頭のてっぺんから足のつま先まで中国製品に頼らざるを得ないのだ。(安哲兄弟『秘密カメラが覗いた北朝鮮』)
九四年の夏、社会安全部が闇市のおばあさんたち三十人ほどから品物を全部没収したことがある。おばあさんたちは社会安全部の前の道端に寝転がって、「私たちを殺したいのなら殺せ」と抗議した。その場で服を着たままおしっこをする人までいて、結局、社会安全部は品物を返した。(朝日新聞アエラ編集部、前掲書)