チャンマダンの価格相場

米は闇市で安い時だと十キロ百五十ウォン、高いときは百七、八十ウォンする。(金元祚『凍土の共和国』)
セイコーの防水・自動巻き・カレンダー付きの腕時計(一個一万五千円)は、闇ルートに流せば平壌では千五百ウォンくらいで売買されている。薄手のネッカチーフ(一枚三百円)は一枚七十ウォン。闇値のついている時計やネッカチーフの用途でもっとも多いのは、物々交換。主食の米を始め肉類、魚類、野菜類、卵、くだものなどとの交換について。
闇米十キロ(百五十~百八十ウォン)を二、三枚のネッカチーフで取り換える場合もあるが、百五十キロの米を時計一個と交換したりする場合もある。
ネッカチーフ一枚が十個の卵と交換されたり、鶏一羽に変わったりすることもある。たまに農民が法を犯し、当局に無断で屠畜した牛肉、豚肉をこっそり持ってきて、ネッカチーフ、場合によっては古着のセーター、下着、その他衣類などと交換してほしいということもある。もちろん、鶏や卵、新鮮な野菜類を持ち込んでくる農民も少なくない。(同書)
ときには五十キロの荷物を背負ってカツギ屋をし、それで得たわずかばかりの金で闇市に足を運び、家族のための食料や衣類を確保したと母・義準はいう。
「闇市には豊富とは言えないながらも食料品はありました。ただし、卵一戸二十五ウォン、タラ一尾七十~八十ウォン、豚肉一キロ三百~三百五十ウォン、砂糖一キロ二百ウォン、中国製の煙草一箱が三十~五十ウォンとかなり高くなっていました。したがって、肉や魚といった高級品は買えませんでしたが、穀物や野菜はなんとか手に入れることができました」
ちなみに、北朝鮮では三百から三百五程度の「チャンマダン」と呼ばれる農民市場があり、様々な生活必需品が売られているが、価格は国定価格よりも一千倍以上もする。
米一キロは国定価格では〇・〇八ウォンだが、農民市場では場所によっては七十五ウォンから九十ウォンもする。労働者の平均月収は八十ウォン程度であり、それも支給されていないとしても、かなりの高額であることが分かる。
このほかでも小麦粉一キロ(国定価格〇・〇六ウォン)が五十~八十ウォン、豚肉一キロ(同十ウォン)が百四十~二百ウォン、鶏一羽(同九ウォン)、石鹸一個(〇・四ウォン)が三十~百ウォン、ビール一本(〇・五ウォン)が四十~六十ウォンとなっている。北朝鮮の公式レートでは一米ドル=二・二六ウォンだが、闇市場では一米ドル~二百四十ウォン程度である。(辺真一『北朝鮮亡命730日ドキュメント』)
米は一キロ公定価格が八銭なのに闇値は八十円。約千倍。豚肉一キロ公定価格は十円が闇値では百五十円で十五倍。白菜は公定価格が一株五銭が闇値では八円。食料の配給量が少ないので人々は闇市馬で購入せざるを得ない。しかし平均月収が七十円という庶民には給料では買うことができず、副業としてさまざまな商売に精を出す。
闇市での取引、密輸入、密輸出。役人は賄賂なしには動かない。賄賂が給料の何倍にもなるという風潮が一般化し、自分の権限を利益をむさぼる。社会全体が給料外所得を当てにして生活しており、それがさらに物価の急騰につながり、悪性のインフレ状況を引き起こしている。そのため五百円札という高級紙幣が必要になっている。(金賛汀『慟哭の豆満江』)
元山には農民市場という露店市場があり、元山の埠頭から三十分ぐらい歩いていくと元山に二か所ある。平壌には高速道路の橋の下、金剛山を上がっていく手前にもある。
卵一個が二ウォン五十チョン。一か月七十五ウォン。労働者の一か月分の給料と同じ。(張明秀『裏切られた楽土』)