労働賃金と月給

ジェービンによれば、金正日は労働賃金について以下のような考えを示している。

一九八九年十一月二十七日、労働部(省)職員会議に寄せた手紙の中で金正日は指摘している。
「賃金を平等に分配すれば、勤労者の意欲を低下させ、怠け者が輩出し、革命と建設に大きな害をもたらすだろう。
いっぽう、もし……労働賃金の格差を維持すれば、人々は物的報奨や個人の収入のみに関心を示し、勤労者の集団主義の精神を弱め、生活水準に大差を生ぜしめ、社会の政治的精神的団結に害を及ぼす。
われわれは政治的・精神的刺激を第一義とし、これを物的刺激と正しく結合しながら、社会主義分業システムを堅持しなければならない」と。(アレクサンドル・ジェービン『私が見た金王朝』)

北朝鮮の労働者の月給はいくらなのか。以下は脱北者たちの証言である。

北朝鮮では労働者の月給は平均して四十~五十ウォンであり、指導員級以下の事務員の月給は百二十~百五十ウォン、市や郡の党の部長から責任秘書たちの月給は二百五十~三百。
(安哲兄弟『秘密カメラが覗いた北朝鮮』)
万寿台から私は月に一二○ウォンの給料をもらった。精錬所の経理部で三十年間勤務していた父の給料が七十ウォン、託児所で保母として働く母の給料が五十ウォン、また金日成総合大学を卒業した銀行員の給料が当時八十ウォンだった。(申英姫『私は金正日の「踊り子」だった』)
除隊して三か月後、私は金策製鉄所連合企業所で働くことになった。一日当たり米九百グラムに、給料七十ウォンをもらえる溶解工は、北朝鮮ではいい仕事といえた。(趙英鎬『にんじんどろぼう』)