電話

北朝鮮の電話事情に関しては北朝鮮研究者のランコフの説明が参考になる。

最近の推計では、人口一○○人あたり約五・二回線。この数字には圧倒的大多数を占める事務所の電話を含んでいる。全部の電話の内、二○パーセントだけが一般家庭に設置されている。
一九九九○年代の中ごろまで、平壌だけが自動電話交換であった。過去一○年間に主要都市には自動交換が導入されたが、もっと小さい町や地方では接続は電話交換手を通じて行われる。
公衆電話も一九八○年代にやっと導入された。ごくわずかな主要都市にしか設置されていない。その数も非常に少ない。
このように、緊急の市内電話にかける必要が生じた場合は、北朝鮮の人たちは電話サービスがある郵便局に行く。(アンドレイ・ランコフ『民衆の北朝鮮』)

北朝鮮北部に位置する恵山出身である脱北者のパク・ヨンミは以下のように証言している。

恵山ではまだ電話のある家は珍しく、携帯電話はごく一部の裕福な人しか持っていなかった。男の子が好きな女の子をデートに誘うには、じかに呼び出すしかなかった(パク・ヨンミ『生きるための選択』)

また、パク・ヨンミが父と電話でやりとりする中で、通話が警察に傍受されていると説明されている。

「お父さんも大丈夫だよ、ヨンミ」父がようやく言った。「声を聞けて本当に嬉しいよ。いまどこにいるんだ?」警察が違法な通話の傍受をしているから、あまり長くは話せない。(同書)