アメリカ

北朝鮮の最大の敵はアメリカである。

平壌の上層部はハリウッド映画の熱心なファンであるが、庶民は全く異なる話を注入されている。米国人は日本人よりさらに悪い敵として描かれている。日本人は輝ける金日成将軍と百戦百勝のパルチザンによって打ち負かされ、朝鮮から追い出されたではないか。
だが、米国人はまだそこにおり、貧しい南を痛めつけ、搾取している。
南は絶望と飢餓の土地であり、その人民はくびきから解放されるのを夢見ている。米国の宣教師は皆、邪悪なスパイであり、その最大の楽しみは、朝鮮の子供を時々、サディスティックなやり方で殺すことである。米外交官はどのように朝鮮人を抹殺するかを関あげながら一日に十余時間を過ごしている血に飢えた妄想狂である。(アンドレイ・ランコフ『民衆の北朝鮮』)

北朝鮮では、学校に通う子供たちは徹底した反米教育を受ける。

ただ「アメリカ人」と言うことは決してなかった。それでは丁寧すぎる。「アメリカ野郎」とか「ヤンキーの悪魔」とか「大鼻のヤンキー」と言わなければならなかった。そう言わないと、敵に甘すぎると非難されることになった。(パク・ヨンミ『生きるための選択』)
米国という名前を聞いただけでも鳥肌がさっと立つぐらい、反米感情を持つようになった。反米思想は映画などを通じて教育された。北では米国を指して「我が民族とひとつの天を一緒に戴いて生きることのできない不倶戴天の敵」だと教えられてきた。(金賢姫『いま、女として』)
風刺画の中で、アメリカ人は決まって歯を剥いて唸るジャッカルの姿に描かれていた。
プロパガンダ用のポスターでは、棒のように細い体に鉤鼻、金髪という姿に描かれるのが常だ。
アメリカ人はひどいにおいがすると教わっていた。彼らは朝鮮半島の南半分を地上の地獄に変え、そこに自らの傀儡政権を保持している。(イ・ヒョンソ『七つの名前を持つ少女』)