人民班とはなにか

北朝鮮の人々は人民班(インミンバン)と呼ばれる、数十世帯のまとまりで生活している。

親愛なる指導者金正日には私たちの心が読めて、悪いことを考えたら罰せられると本気で信じていた。たとえ金正日が聞いていなくても、スパイがそこらじゅうにいて、窓に聞き耳を立て、学校の校庭に目を光らせていた。みな、人民班(インミンバン)という隣組のようなものに属していて、誰かが間違ったことを言ったら報告するように命じられていた(パク・ヨンミ『生きるための選択』)
全市民が少なくとも週に一度は参加しなければならない人民班の集まりでは、友達は“同志”であり、お互いにそう呼び合わなければならないと学ぶ。みな同じ考えを持たなければならないと教える」(同書)
標準的な人民班は三十から五十の家族からなる。人民班は通常、特定地区の住民からなる。
一方、アパートではそのようなグループは同じ階段(建物が大きくない場合には近くの二、三の階段)を共有するすべての家族からなる。通常、中年の女性が人民班の班長となる。(アンドレイ・ランコフ『民衆の北朝鮮』)
「平壌新聞」によれば「社会の成員はすべて、例外なく、『権力機関の最小単位である』人民班に統合されている」。
新聞雑誌がしばしば「栄光ある党中央」と呼ぶ金正日は、「人民班の正確な方向と活動のいっそうの改善の道を示し、模範的な人民班と地域の建設を懸命に指導された」のである。金正日はまた「主体思想を基礎として社会を全般的に改造する
課題に従い、人民班長の責任を高める具体的措置を講じた」(アレクサンドル・ジェービン『私が見た金王朝』)
「人民班」とその成員の権利義務は特別の文書に明文化されており、各班は都市では二十ないし三十世帯からなり、四十ないし六十班で地域(日本の町にあたる洞)をなし、地域事務所がこれを指導している。地域事務所は地方の権力機関である人民委員会(都市では区域委員会、農村では里の委員会)に属している。
平壌では人民班専従諸君の全市集会がすくなくとも年に一度は開かれる。集会には市党委員会、人民委員会の長や市の各機関の指導者、ならびに組織の問題やプロパガンダを管掌する
党中央委員会の高級職員、社会安全部の代表らが出席する。(同書)
人民班の一番の義務は「偉大なる首領様金日成同志と親愛なる指導者金正日同士の周囲にしべての班員を結束させる」ことにある。「まずなによりも、あらゆる手段・方法を用いて、敬愛すべき首領様とわが党(つまり金正日)の偉大さを宣伝し、思想的教育活動を精力的に進めねばならない。
主体思想と革命的伝統に基づく教育を始め、階級的教育を行い、これによって班員を主体型の共産主義革命家に、偉大なる首領様と栄光ある党中央に無限に忠誠なる人間を養育する」ことにあると、人民班職員の市全体会議で指摘されたという。
人民班はまた、いわゆる「家庭の革命化」を推進するうえで重要な役割を果たしている。
こういった課題はまさしく人民班の枠内で主に解決されている。金日成が指摘しているように、「われわれはまず家庭の革命化から着手し、ついで、人民班、班、職場、里(村)を革命化し、模範的単位を創造し、その経験を普及することによって、徐々に社会全体の革命化を実現し、その全成員を模範的な労働者階級に改造しなければならない」のである。新聞雑誌の飼料によれば、「革命的家庭」の本質は、そのすべての成員を「金日成一族に対して無限に忠誠な」人間たらしめることにある。公式プロパガンダが要求しているように、北朝鮮の全人民は、最大の価値は個人の物理的生活ではなく、「首領様と党と大衆が不可分一体」であるところの「社会・政治的有機体」の一員として送る社会・政治的生活であることを認識しなければならない。(同書)

各家には色が塗られ、その色によってどの班に属しているのか識別されているようだ。

家は同じモデルに倣い隣り合って建てられた、他の家屋とよく似ていた。扉が一つ、窓もたったひとつ、それに、オレンジ色の丸瓦をふいた屋根。壁は白だが、下の方は、ぼくが八歳か九歳のころの背丈ほどまで青く塗られていた。家々の衛生状態を点検するため定期的にやってくる、ぼくたちが住んでいた地区の役人は、そのたびに基礎部分の塗り直しを命じた。
色合いはその都度、緑や青や薄茶色などに代わったが、同じ班の家はどれも同じ色になるようにしなければならなかった。(チャン・キホン『北朝鮮の子供たち』)