マスゲームとパレード

北朝鮮の生徒たちが動員されるマスゲームの練習について、大韓航空爆破事件の実行犯である金賢姫が回想している。

カードセクションに動員されると、行事進行中の九十分、よそ見を一度もできず席を守って座り、指導教員に指示に従い寸分の間違いも許されない。もし違う色のカードを出したり、動作が遅れたりしたら大変なので超緊張状態で九十分を過ごす。金日成の顔の作品を作る場合には、指導教員までぐっと緊張する。金日成の顔がダメになったり、顔に黒い点でもあろうものなら、それに参加した誰もがただでは済まないからである。だからカードセクションに参加する生徒の中にはその席で放尿する場合が少なくない。はなはだしいのは膀胱炎にかかる子供もいた。(金賢姫『いま、女として』池田菊敏訳)

北朝鮮と言えばパレードも有名だが、パレードには三種類ある。

パレードには三種類ある。もっとも盛大な一番目は、偉大な領袖を迎えるためのパレードだ。二番目は、一番目より荘厳さに欠け、党の高級幹部たちを迎えるもの。軍の将軍たちには三番目のパレードだ。第一のパレードで最前列に並び、花束を振ったり歓呼の声を上げる人は、偉大な領袖にとりわけ忠実な党幹部の家族から選ばれる。普通の人は、三番目のパレードでしか最前列には並べない。(カン・ヒョク『北朝鮮の子供たち』檜垣嗣子訳)

パレードの練習も、マスゲームと同様過酷であるようだ。

平壌にいた七七年から八二年にかけては、アフリカの社会主義諸国の大当郎が次々とやってきて、歓迎の群衆として表に立たされた。咸興でも、九三年七月二十七日の戦勝記念日に立たされたが、まさに拷問のような苦痛だった。午後一時から午後四時まで、一歩も動いてはいけないし、トイレにも行けない。女性は、みんなで取り囲んで隠して、用を足していた。
金日成、金正日が来たら、力を振り絞って旗を振り、笑顔を作る。行事が終わってもすぐに返してもらえず、反省会が開かれ、相互批判をさせられた。(朝日新聞アエラ編集部『北朝鮮からの亡命者』)