党幹部への監視

金日成と金正日は党幹部に対して贈物をすることで忠誠心を高めるとともに、徹底した監視を行った。

知識人の不満を解消し防止するため金日成一家は「飴と鞭」の巧妙な両面政策を取っていた。北朝鮮体制は、一方で電話の会話を監視し盗聴しながら組織的な犯行を未然に防止し、また一方では「秘密パーティー」や「豊富な下賜品」で知識人層の機嫌をとっていた。一般の人々が期待するよりはるかに豪華で潤沢な下賜品はほとんどが外国製品であり、その種類も一般の人には想像もできないものだった。ピアノ、電子オルガン、扇風機、テレビなどから、金正日の誕生日にあやかった「216」プレートの車まで実に多彩だった。
こうした下賜品を直接金正日から与えられると、それだけで本人みずから一般人民とは違う「選ばれた人間」という特権意識を持ち、金正日の信頼を受けているという「胸が厚くなる信頼感」を抱くことになるのである。自然と金正日に対して「私たち家族は代々忠誠を誓おう」という気持ちになる。(申英姫『私は金正日の「踊り子」だった』金燦訳)

電話はもちろん、家の中にまで盗聴器が仕掛けられている。

夫の実家を始め党幹部の自宅の電話は、必ず交換手を通さなければならなかった。幹部に対しての保護措置か、そうでなければ幹部の動きを監視するのが目的なのかどうかわからないが、どこそこの幹部の自宅につなげるようにと交換手に告げて初めて電話がつながるシステムだった。(同書)
金正日の側近たちは中央党庁舎の隣に立つアパートに住んでいる。その側近アパートに住まなくても、北朝鮮では政治局候補委員、副総理以上の高位幹部になると豪華な専用車が支給される。副総理はベンツ280型、政治局委員はベンツ380型。党幹部らは盗聴器まで仕掛けられ、一挙手一投足まで監視されている。幹部は勤務中、昼食時間が一分でも過ぎると、生活総括の時に自己批判させられる。(辺真一『証言・北朝鮮 餓死か暴発か』)