候補党員と入党審査

北朝鮮での大学生時代、かつて学問でトップクラスの成績を修めていた脱北者の張仁淑はその成績を評価され、朝鮮労働党候補党員になる。

三年生になってすぐのこと、民青旗をバックに栄誉写真をすることになった。民青の旗を背にして写真撮影することができるのは年に一人か二人しかおらず、最高の栄誉である。
これはまた将来、労働党員になるための重要な担保になるものでもある。その写真は私が大学を卒業するまで校内の栄誉掲示板に掲げられていた。
この写真は、民青機関紙に掲載されたから、私のことは通信大学、夜間大学の学生たちにまで知れ渡り、激励の手紙が各力たくさん届くようになったし、なにより念願の朝鮮労働党候補党員になれた。そして、とうとうなんとも晴れやかなことに、大学民青全体総会の模範大会が開催されたその席上で入党保証書を受け取った。
党員になる実務手続きのためには、まず入党保証書が二枚必要だ。民青員から党員になる場合には、民青団体と党員一名の保証がそれぞれ必要である。労働現場での経験がほとんどないというハンディがあったため、ひとまず保留扱いにされてしまった。が、この場は大学民青委員長のチャ・チファン先生が積極的にバックアップしてくれ、うまくパスした。
多くの人たちの支持を得て入党保証書をもらい、入党審査党細胞総会に出席した。大学では党細胞が学科の一年生から四年生まで縦割りにして組織され、橋梁架設学科の場合は合わせて六十人の党員がいる。その彼らの前で口頭で党員資格について審査を受けた。試験に続いて、満場一致で候補党員としての入党が決定した。引き続き、大学党委員会を経て地区党に行って、さらに個別審査を受けねばならない。地区担当の党指導員もやはり二時間かけて政治、経済、軍事、文化など各分野にわたり質問を浴びせてきた。「あらゆる面で党員らしさを充分発揮するように」と念を押された。候補党員は一年間すべての面で党員としてふさわしい行動をとらねばならず、この間に親せきまで含めた身内に政治的に問題が何も起きなければ、再度細胞総会で審査を受けることになる。そして区域(郡)党の批准を受けて、晴れて党員になれる。(張仁淑『凍れる河を超えて』辺真一・李聖男訳)

大韓航空爆破事件の実行犯である金賢姫も優秀な人物であり、審査を受けたのち、入党を果たしている。

東北里10号招待所に移され、約四十日間労働党入党のために、政治思想学習を集中的に受けた。「党の唯一思想体系確立十大原則」「党の唯一的指導体制確立」「金日成主義理論に対して」「朝鮮労働党規約」「朝鮮労働党創建の歴史」などを暗誦した。金日成の誕生日を控えて、招待所の学習室で李明吉指導員、呉世永課長と党の指導員の三人が私の入党審査をした。「党の規約」「唯一思想十大原則」「入党覚悟」「入党目的」などについて質問した。まず壁に取り付けられた金日成の肖像画に向かい、腰をかがめて敬意を表したのち、「敬愛する首領金日成同志と、親愛なる指導者金正日同志の政治的信任と配慮によって、偉大なる首領金日成同志が嚮導、発展される朝鮮労働党に党員として入党するようになったことを無限なる栄光と考え、高い誇りを持って、首領様のために生命を捧げ、党の名誉を守り、最後まで闘争することを誓います」と宣誓した。(金賢姫『いま、女として』池田菊敏訳)