革命の首都

平壌にはエリートしか住めない。

平壌には、共和国政府によって〈思想温厚〉で〈忠誠度〉が高いと認定された〈選良の民〉以外は住めないようになっていた。帰国同胞に関してもそういえた。忠誠度が高いと認められた総聯幹部、大口の寄付金を出している商工人など、きわめて限られた人たちの子弟や身内しか、平壌には住めなくなっていた。(張明秀『凍土の共和国』)

帰国同胞とは日本から北朝鮮に帰国した朝鮮人のことだ。

エリートの街平壌では乗り物も制限される。

首都平壌は選ばれた良民の住む「特別区」とされ、自転車は「前近代的な乗り物」として乗ってはならないことになっている。中心部は整然として、党の幹部を乗せたベンツやボルボが走り回っているが、少し郊外へ出ていると、戦時中の日本でよく見かけた木炭車がトウモロコシの芯をくべて、真っ黒な煙を吐き出しながら走っている。(同書)

平壌を流れる大同江には生活排水や工場排水が流れ込んでいるという。

バラック小屋の掘っ建て小屋がごちゃごちゃと建ち並ぶ光景が、目に入って来る。大同江には大勢の釣り人がおり、釣り上げたボラや鯉を新聞紙にくるみ、大事そうに鞄に入れて持ち帰っていく。
大同江の水の色はどす黒く濁り、澱んでいる。排水浄化装置もなく、生活排水や工場排水がそのまま流れ込んで水がにごっている。(同書)

北朝鮮研究者の宮塚利雄の報告から、平壌の人々の生活事情が垣間見える。

平壌で老人や身体障碍者を見たことがないという人は多いが、これは間違いだ。実際には年金生活の多くの老人が住んでいる。平壌高麗ホテルの前で松葉杖をついた人を見た。ただ、エレベーターがいつも動いているわけではないので、いちいち階段を上り下りしなければならず、そのために外に出なくなるのだ。(宮塚利雄『北朝鮮ツアー報告』)
最近は、アパートのベランダに網を張って二、三羽の鶏を飼い、卵を産ませ、農民市場でほかの食材と交換したりしているともいう。(同書)
平壌市内では犬の飼育は禁じられていて、甘肉(タンコギ)用の犬は地方で飼育している。餌の問題、鳴き声、衛生問題も絡んでいるらしく、平壌にゴミが一つも落ちていないのと同じように、飼い主と散歩したり、ペットとして飼われている犬の姿を見ることはない。(同書)
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