バッジの扱い

金日成バッジの扱いには十分に気を付けなければいけない。
以下は、北朝鮮に拉致された韓国の映画監督申相玉の体験談である。

九・九節の朝、副部長はまた一つ奇妙な土産を持って現れた。胸に付けるバッジなのだが、赤い旗の中に金日成の肖像画は入っていた。無造作に受け取って胸に着けようとすると、副部長は私の手をパッと払いのけ、眉をひそめた。態度が不敬だというのだ。
気を付けの姿勢をして両手で受け取れというのだ。(崔銀姫、申相玉『闇からの谺』池田菊敏訳)

金日成バッジを指さすことは大変重い罪になる。

北朝鮮では金日成や金正日を呼び捨てにしたりはしない。それどころか、金日成バッジに人差し指を向けたりもいけない。万が一そんな行為を他人の前で行ったら、たちまち密告され、“偉大なる首領様”“偉大なる指導者同志”に対する恩義を忘れた不逞の輩、反逆者の烙印を捺され、政治犯強制収容所に送られたり、炭鉱地帯に追放されるほどの厳罰に処される。(宮塚利雄『浮浪児と美女軍団 北朝鮮の暮らし』)

金日成バッジは闇取引の商品になっている。

金日成のバッジには、二十種類以上ある。金日成バッジが闇で取引される商品になってからというもの、安全では目を光らせて取り締まった。だが、根絶するのは不可能だった。
そこで政府ではたびたびデザインを変更することで、金日成バッジの品格を保とうとしていた。(趙英鎬『にんじんどろぼう』洪英義訳)

金日成バッジは若い人々の間でファッションになっている。

北朝鮮の若い人々は、バッジをファッションの自己主張として使っている。一九八〇年代、朝鮮の若者の間でバッジを服装の端につけるのがはやりになったことを私は覚えている。
脱北者の話によると、バッジがしばしば、最新のファッションの流行のなくてはならない部分になっている。(アンドレイ・ランコフ『民衆の北朝鮮』鳥居英晴)