国際芸術祭「四月の春」

金日成の誕生日には「四月の春」と呼ばれる国際芸術祭が行われている。

一九八二年からはじまった、金日成の誕生日に催される国際芸術祭「四月の春[サウォレ・ポム]」にも毎年、主催者側が参加者の全員をこの銅像詣でに連れてくるようになり、この人たちも生け花の籠や花束を供えるようになった。 四月十四日の夜から十五日の未明にかけて、金日成の立像が建つ革命博物館前の大広場は、強力な投光器のライトを浴びる。この広場は子供連れの姿が大勢見られる。家で留守をする人がいないらしく、乳飲子を連れた人も多い。像のまえの広場に上がる幅広の階段の下に人が群れるにしたがって、私服の警官がグループごとに階段を進む許可を与える。像の前まで来ると群衆は列を組んで、ガイドが「敬愛する首領様」の健康と長寿を祈るように呼び掛けるのに応じて、深々と像を礼拝して横手の階段から帰っていく。(アレクサンドル・ジェービン『私が見た金王朝』川合渙一)

また、政府高官専用のバイパスもあるらしい。

ちなみに、公用車のベンツを利用できる者にとっては、現人神の像にいたる道はもっと短く平坦にできている。像の左手にちょっとした駐車場があるのだ。ここで何度か顔見知りの大臣や中央委員会の部長など高官に出会ったことがあるが、高官が乗っていることを示すナンバー・プレートの車から、将軍が若い細君をともなった大尉風情と降りてくる。(同書)

「四月の春」では外国のアーティストが北朝鮮に滞在するが、北朝鮮のジャーナリストは彼らに対して最高指導者への「感謝の手紙」を書かせるそうだ。

金日成の生誕祝賀行事のクライマックスは「四月の春」と呼ばれる国際芸術祭である。祭典のアーティストが北朝鮮に滞在中、金日成と金正日の活動ゆかりの地や、西海閘門(ソヘカムムン)ダムのような「展示用の」経済施設を見学する円左側が催される。そのあとジャーナリストから無数のインタビューを受けるが、そのなかで見学した場所について、とりわけ金日成と金正日の「賢明な指導」ぶりに感激を示すことが求められる。何人かの参列者からきいた話だが、北朝鮮のジャーナリストは、自分たちに必要な個々のインタビュー記事をあらかじめ準備していて、署名だけしてくれと頼むらしい。署名が終わると即座に「著者に」対して報酬が米ドルで支払われる。北朝鮮で行われるすべての国際会議、国際フォーラム、国際シンポジウムもそうだが、参加者に対して金日成と金正日に「感謝の手紙」を書かせることが通例となっている。感謝状は後日、この両指導者の「指導」と「永世不滅の偉功」に対する全世界の文化の巨匠たちの「認証」として、この国の新聞に公表される仕掛けになっている。(同書)
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